懸垂の世界記録とは?
懸垂(Pull-up)は、シンプルながらも上半身の筋力・持久力・精神力を極限まで問うトレーニング種目です。その記録への挑戦は、まさに「人間の限界」を測るバロメーターのようなもの。
ここでは、懸垂の世界記録の歴史をたどりながら、それぞれの挑戦者がいかにして壁を超えてきたのかを紹介します。
懸垂の世界記録の分類
懸垂の世界記録は、いくつかのカテゴリに分かれています:
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24時間最多懸垂回数
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1分間最多懸垂回数
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1時間最多懸垂回数
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12時間最多懸垂
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加重懸垂記録
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1日での最多懸垂(非連続可)
今回は中でも24時間懸垂の記録の歴史を中心に掘り下げます。
懸垂世界記録の主な更新史
● 2011年:チャド・スミス(Chad Smith)
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記録:4,020回(24時間)
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アメリカ人海軍関係者。
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この時点での記録は、体力よりも「メンタル力」が評価され始めた転機だった。
● 2013年:デイビッド・ゴギンズ(David Goggins)
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記録:4,030回(未公認)→4,030回(ギネス認定)
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元Navy SEALs。初回挑戦時は手のひらの皮膚が裂けて失敗。
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2度目の挑戦で成功。
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懸垂中に手が血だらけになりながらも、根性で記録を更新。
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自著『Can’t Hurt Me』でこの過程を詳細に語っている。
ゴギンズは「懸垂は筋トレではなく、“自分との会話”だ」と表現。
● 2014年:ヤニック・ホロマンスキー(Jan Kares)
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記録:4,210回(24時間)
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チェコのアスリート。
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当時ギネス記録を更新し、世界の注目を集めた。
● 2016年:Kenta Adachi(足立健太・日本)
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記録:4,321回(24時間)※日本記録として話題に
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フィジカルトレーナーで、ボディウエイト中心のトレーニング指導を行う人物。
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メディア露出は少ないが、日本の懸垂記録界において重要な実績。
● 2020年:クレイグ・ハリソン(Kroyler Gracie)
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記録:4,210回(ギネス認定)
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ブラジリアン柔術家で、筋持久力に優れたタイプ。
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「技術」と「呼吸」のバランスを重視したスタイルが注目された。
● 2022年:ジョエル・ストラウダー(Joel Strasser)
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記録:4,321回 → 5,340回(ギネス記録)
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彼はまた「ヒゲに最も多くの爪楊枝を刺した男」としても有名なギネス記録ホルダー。
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2022年の記録で、一気に5,000回の壁を突破。
1分間懸垂の記録も熱い
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記録保持者:アダム・サンドヴァル
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記録:68回(1分間)
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スピードとフォームの厳密さが求められ、腕だけでなく心肺の限界も問われる競技。
懸垂世界記録に必要な要素
1. 持久力と筋持久力
懸垂は、筋力以上に「同じ動作を数千回繰り返すための“耐える力”」が重要です。
2. ハンドケア(皮膚管理)
手の皮が裂けて出血し、それが理由でリタイアすることも多い。
ゴギンズも最初の挑戦で皮膚剥離のため失敗しています。
3. 補給戦略と睡眠管理
24時間の中で、食事・水分・休憩をどのタイミングで、どうとるかが記録を左右します。
過剰な糖質や水分不足はリズムを崩し、パフォーマンスを低下させます。
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