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バッドウォーター・ウルトラマラソンとは?
「バッドウォーター135(Badwater 135)」は、アメリカ・カリフォルニア州で開催される世界屈指の過酷なウルトラマラソンで、正式には「Badwater Ultramarathon」と呼ばれます。
距離は135マイル(約217km)。
場所は「地球上で最も暑い場所」として知られるデスバレー国立公園からスタートし、ホイットニー山の登山口付近がゴールです。
数字で見るバッドウォーター
指標 | 内容 |
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距離 | 135マイル(約217km) |
制限時間 | 48時間 |
開催地 | 米国カリフォルニア州・デスバレー |
開催時期 | 7月(※気温が最も高い時期) |
最高気温 | 50℃を超えることもある |
標高差 | 約4,000m以上の累積登り |
この数値からも分かるように、バッドウォーターは単なる長距離走ではなく、命のリスクを背負った過酷な挑戦なのです。
コースの詳細と特徴
バッドウォーターのスタート地点は、海抜マイナス85メートルの「バッドウォーター・ベイスン(Badwater Basin)」。
そこから、アスファルトの灼熱地帯をひたすら進み、ゴール地点は海抜約2,500メートルのホイットニーポータルに設定されています。
主な難所
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デスバレーの灼熱地帯(日中50℃超)
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パナミント山脈越えの登坂
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夜間走による体温調整と視界の問題
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靴のソールが溶けるほどの路面温度
どんな人が出場できるのか?
バッドウォーターは誰でも出られるレースではありません。出場には厳しい選抜があります。
出場条件(例)
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100マイル(160km)以上のウルトラマラソンを複数完走している実績
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過酷な気候条件のレース経験
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応募書類、推薦状、過去の成績、社会的貢献活動などを総合的に審査
毎年選ばれるのは、世界中からわずか90名前後の精鋭ランナーのみ。
何がここまで過酷なのか?
バッドウォーターが「地球最強レベル」と呼ばれる理由は次のとおりです:
1. 圧倒的な暑さ(Heat)
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日中は摂氏50度を超えることも。
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体温調整が難しく、熱中症・脱水・低ナトリウム症との戦いになる。
2. 標高差と登坂(Elevation)
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低地スタートから山岳地帯へ。
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平地と違い、心肺と筋持久力の両方が試される。
3. 長時間の睡眠不足(Sleep Deprivation)
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48時間ノンストップ。
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寝る時間も食べる時間も自己管理。クルー(サポーター)の存在が不可欠。
クルーの重要性
選手には**自前のサポートチーム(Crew)**が必須。
車で伴走しながら、水分補給、食事、マッサージ、応急処置などを担当します。
クルーの判断力や士気が、選手の生死を分けると言っても過言ではありません。
ゴギンズもここを走った
ディビッド・ゴギンズもこのバッドウォーターに出場し、全身ボロボロの状態でも完走したことで有名です。
彼はこの経験を通して、自らのメンタルの殻を破り、「Can’t Hurt Me」の核となる哲学を確立しました。
バッドウォーターが教えてくれる「生き方」
このレースを完走した者が得られるのは、メダルや栄光ではありません。
それは**「自分はこれだけの苦痛と対峙し、なお歩みを止めなかった」という確信**です。
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限界とは“物理的制限”ではなく“思考の停止”
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仲間に支えられることの尊さ
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暑さ、疲労、痛み、孤独——そのすべてを受け入れた先にある境地
これは、ビジネスや人生におけるタフネスやリーダーシップの本質にも通じる体験と言えるでしょう。
まとめ:地球で最も熱く、最も孤独で、最も人間的なレース
バッドウォーター・ウルトラマラソンは、ただの競技ではありません。
それは「走る瞑想」であり、「肉体の終焉から始まる心の旅」です。
自分の限界に向き合い、それを超えていく過程を体験する。
それこそが、このレースが世界中の挑戦者を惹きつけ続ける理由なのです。
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