サウナと熱中症:リラックスの先に潜むリスクとは?

サウナブームの裏側にある「熱中症リスク」

サウナは、日本のみならず世界中で人気を集めているリラクゼーション手段です。心身を整える「ととのう」感覚や、血流改善・ストレス解消効果が注目されています。しかし、サウナは一歩間違えば「熱中症」のリスクと隣り合わせ。特に、夏場や体調不良時には注意が必要です。

本記事では、医学的知見をもとに「サウナと熱中症」の関係を掘り下げ、安心・安全に楽しむためのポイントを解説します。


熱中症とは何か?:そのメカニズムを理解しよう

熱中症とは、高温多湿な環境に長時間さらされることで、体温調節機能が破綻し、体内に熱がこもる状態を指します。具体的には以下のような段階があります。

症状段階 主な症状
I度(軽症) めまい、立ちくらみ、筋肉のこむら返り、発汗異常
II度(中等症) 頭痛、吐き気、脱力感、判断力低下
III度(重症) 意識障害、けいれん、肝腎機能障害、高体温(40℃以上)

特に、体内の水分や塩分が失われ、発汗による冷却作用が機能しなくなると、体温が急激に上昇し重篤化します。


サウナがもたらす生理的変化とリスク

1. 急激な脱水

サウナでは短時間で大量の発汗が起こります。10〜15分で500ml以上の水分が失われることもあり、脱水状態に陥る可能性があります。水分だけでなく電解質(ナトリウム、カリウム)も失われるため、めまいや立ちくらみの原因に。

2. 血圧の変動

高温により血管が拡張し、血圧が一時的に低下します。これにより、立ちくらみや意識消失を起こすことも。特に高齢者や心血管疾患のある人は注意が必要です。

3. 体温調節機能の限界

体温は通常37℃前後に保たれていますが、サウナ内(80~100℃)では体温が一時的に39~40℃に上昇することもあります。冷水浴との組み合わせで「交感神経刺激」が得られる一方、循環器に過剰な負担がかかるケースも。


サウナで熱中症になりやすい人の特徴

以下に該当する人は、特に注意が必要です。

  • 高齢者(発汗機能と血流調整機能が低下)

  • 心臓病や高血圧などの持病がある人

  • 糖尿病患者(自律神経障害による体温調節不全)

  • 前日の飲酒・脱水状態の人

  • 風邪や発熱などの体調不良時

  • 妊娠中の女性(体温調整や血液循環に負荷)


医師も推奨する「安全なサウナ利用法」

1. 利用前後の水分・電解質補給

ただの水ではなく、経口補水液やスポーツドリンクが推奨されます。ミネラル不足はこむら返りや脱力感の原因になります。

2. サウナ滞在時間は10分以内を目安に

無理をせず、体調と相談しながら短時間の利用を。複数回入る場合も、しっかりとクールダウンを挟みましょう。

3. 冷水浴の過信は禁物

急激な温冷交代浴は、血圧の急変動を招く可能性があります。特に高齢者や循環器疾患のある方は控えめに。

4. 体調不良時は「入らない」判断を

少しでもめまい、吐き気、体のだるさを感じたら、即座にサウナから出ましょう。「我慢して入る」は厳禁です。


結論:サウナは“使い方”次第で薬にも毒にもなる

サウナは心と体のリセットに効果的なツールですが、その効果は正しい知識と注意深い利用によってのみ得られます。

特に夏場や体調不良時は、熱中症のリスクが高まります。医学的な視点から見ても、サウナは“健康な人が適切に使う”ことを前提とした習慣です。

あなたの体を守るために、少しの注意と対策を忘れずに。ととのう前に、まずは“ととのえる準備”をしましょう。

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